興福寺
日本の世界遺産に登録されている奈良のお寺である興福寺の国宝館の中八部衆立像の一つ、阿修羅像。いまやすっかり、写真やポスターなどでもおなじみの仏像だ。
興福寺は、奈良時代から平安時代にかけて勢力を誇った。藤原氏の氏寺であり、一時は官寺の東大寺と肩を並べるほどの大寺院だった。けれど、時代の波には逆らえずに衰退の道を歩み、現在は五重塔や東金堂など世界遺産に登録されたわずかな建造物が、当時の輝きを今に伝えている。
そんな日本の世界遺産である興福寺にあって、輝きを放つもう一つの場所が国宝館だ。この寺は、日本有数の文化財の宝庫。所有する国宝と重要文化財は、約90点を数える。そして、館内に展示された数多くの文化財の中で、ダントツの人気を誇るのが阿修羅像である。
凛々しく、憂いを帯びたその表情は、たしかに「阿修羅」という激しい名前にはそぐわない。身長153・4cmの体も荒々しい戦闘神とは思えぬほどなよなか。
それでも、その立ち姿は、興福寺が大寺院だったころの誇りを決して忘れないかのように、気高い。
かつては、藤原一門の氏寺という格式を誇った興福寺。現在は、門もなければ塀もなく、いくつもの場所から境内に自由に入れることができ、奈良公園と一体化したような開放的な雰囲気にあふれている。境内に足を一歩踏み入れれば、あちこちで鹿がお出迎え。世界遺産に登録された国宝建造物が何棟も建ち並んでいるにもかかわらず、夜中でも境内の散策が可能で、五重塔越しに満月を眺める、なんてこともできるのだ。
現在、興福寺では境内中央に楷が設置され、中金堂の2010年再建など、境内復興整備計画が進められている。いつかきっと、かつての栄華をほうふつさせるような、極彩色に彩られた壮麗な伽藍が蘇るだろう。
タグ
2008年12月28日|
カテゴリー:古都奈良の文化財

